Zed エディタ - Rust製マルチプレイヤーIDEで開発体験を革新

中級 | 10分 で読める | 2026.04.24

公式ドキュメント

この記事の要点

• Rust製でGPUレンダリングを活用した超高速エディタ
• リアルタイム共同編集(マルチプレイヤー)を標準装備
• AI統合(Copilot互換)・Language Server Protocol完全対応

開発者向けエディタは長年VSCodeが主流でしたが、パフォーマンス・起動速度・メモリ消費に課題を抱えています。Zedは、Rustで一から書き直し、GPUレンダリング・マルチプレイヤー編集・AI統合を標準装備した次世代エディタとして注目を集めています。本記事では、Zedの特徴と実践的な利用方法を解説します。

Zedとは

Zedは、Atomエディタの創業者が開発した、Rust製の超高速コードエディタです。単なるテキストエディタではなく、リアルタイム共同編集・AI補完・プロジェクト管理機能を統合したモダンIDEとして設計されています。

主要な特徴

  • 超高速レンダリング: Rust + GPUレンダリングで60FPS以上の滑らかなスクロール
  • リアルタイム共同編集: 複数人が同じファイルを同時編集(Google Docs風)
  • AI統合: GitHub Copilot互換のAI補完・チャット機能
  • LSP完全対応: Language Server Protocolで各言語のインテリセンス対応
  • 軽量起動: 起動時間1秒以下、メモリ消費はVSCodeの半分以下
  • プラグインシステム: 拡張機能でカスタマイズ可能
  • クロスプラットフォーム: macOS・Linux・Windows対応

ポイント: ZedはElectron(VSCode)ではなく、ネイティブGUIフレームワークで実装されているため、起動速度・応答性・メモリ効率がVSCodeより大幅に優れています。

なぜZedが必要か

従来のエディタ(特にElectronベース)には、以下の課題がありました。

従来の課題

  1. 起動速度: VSCodeは大規模プロジェクトで起動に5〜10秒かかることがある
  2. メモリ消費: 拡張機能を多数入れると1GB以上のメモリを消費
  3. 応答性: 大きなファイルや検索時に動作が重くなる
  4. 共同編集: Live Shareなどプラグインでのリアルタイム編集は不安定

Zedはこれらをすべてネイティブレベルで解決し、開発者体験を大幅に向上させます。

アーキテクチャ

flowchart TB
    subgraph Zed["Zed Editor"]
        A1["UI Layer<br/>(GPUI - Rust GUI)"]
        A2["Editor Core<br/>(Buffer, Syntax Tree)"]
        A3["LSP Client"]
        A4["AI Integration<br/>(Copilot, Chat)"]
        A5["Collaboration Server<br/>(CRDT sync)"]
    end

    subgraph External["外部サービス"]
        B1["Language Server<br/>(TypeScript, Rust, Python...)"]
        B2["GitHub Copilot"]
        B3["Collaboration Peers"]
    end

    A1 --> A2
    A2 --> A3
    A2 --> A4
    A2 --> A5
    A3 --> B1
    A4 --> B2
    A5 --> B3
  • UI Layer (GPUI): RustベースのGPU加速UIフレームワーク
  • Editor Core: バッファ・構文木・編集履歴を高速に管理
  • LSP Client: Language Serverと通信してインテリセンス・リファクタリングを提供
  • AI Integration: GitHub Copilot互換のAI補完・チャット
  • Collaboration Server: CRDT(Conflict-free Replicated Data Type)でリアルタイム同期

インストール

macOS

# Homebrewでインストール
brew install zed

# 手動ダウンロード
# https://zed.dev/ からダウンロード

Linux

# 公式スクリプトでインストール
curl https://zed.dev/install.sh | sh

# または手動ダウンロード
# https://zed.dev/ からダウンロード

Windows

# 公式サイトからインストーラをダウンロード
# https://zed.dev/

実践メモ: 初回起動時に設定ウィザードが表示され、テーマ・キーバインド・拡張機能を選択できます。VSCodeからの移行時は「VSCode互換キーバインド」を選択すると操作に迷いません。

基本的な使い方

プロジェクトを開く

# コマンドラインからプロジェクトを開く
zed /path/to/project

# または、エディタ内で Cmd+O (macOS) / Ctrl+O (Linux/Windows)

キーボードショートカット(主要なもの)

操作macOSLinux/Windows
コマンドパレットCmd+Shift+PCtrl+Shift+P
ファイル検索Cmd+PCtrl+P
記号検索Cmd+TCtrl+T
グローバル検索Cmd+Shift+FCtrl+Shift+F
マルチカーソルOption+ClickAlt+Click
定義へ移動F12F12
参照を検索Shift+F12Shift+F12

Language Serverの設定

ZedはLSPを標準サポートしており、インストール時に各言語のLanguage Serverを自動セットアップします。

// ~/.config/zed/settings.json
{
  "lsp": {
    "typescript-language-server": {
      "initialization_options": {
        "preferences": {
          "includeInlayParameterNameHints": "all"
        }
      }
    },
    "rust-analyzer": {
      "initialization_options": {
        "checkOnSave": {
          "command": "clippy"
        }
      }
    }
  }
}

ポイント: ZedのLSP設定はVSCodeより簡潔で、デフォルト設定だけでも十分に動作します。カスタマイズが必要な場合のみ設定ファイルを編集します。

リアルタイム共同編集(マルチプレイヤー)

Zedの最大の特徴は、リアルタイム共同編集がエディタに標準統合されている点です。

共同編集セッションの開始

# エディタ内で Cmd+Shift+C (macOS) / Ctrl+Shift+C (Linux/Windows)
# または、コマンドパレットから "Share Project" を選択
  1. プロジェクトを共有: 共有リンクが生成される
  2. リンクを送信: チームメンバーにリンクを送る
  3. 参加: リンクを開いたメンバーが自動で同じプロジェクトに接続

共同編集中の機能

  • リアルタイムカーソル: 他のメンバーのカーソル位置がリアルタイムで表示
  • 同時編集: 同じファイルを複数人が同時編集してもコンフリクトなし
  • フォロー機能: 他のメンバーの画面にカーソルを追従
  • 音声通話: エディタ内で音声チャット可能(オプション)
// ~/.config/zed/settings.json で共同編集設定
{
  "collaboration": {
    "channel_default": "public",
    "auto_join": true
  }
}

実践メモ: ペアプログラミング・コードレビュー・オンボーディング時に非常に有効です。画面共有ツールと違い、各自が独立してカーソルを動かせるため、効率的に作業できます。

AI統合(Copilot互換)

ZedはGitHub Copilot互換のAI補完機能を標準装備しています。

Copilotの有効化

# コマンドパレットから "Enable Copilot" を選択
# GitHubアカウントでログイン

AI補完の使用

// 関数名を入力すると、Copilotが実装を提案
function calculateFibonacci(n: number): number {
  // ここでTabを押すと、実装が自動補完される
  if (n <= 1) return n;
  return calculateFibonacci(n - 1) + calculateFibonacci(n - 2);
}

AIチャット機能

# Cmd+Shift+A (macOS) / Ctrl+Shift+A (Linux/Windows)
# または、コマンドパレットから "Open AI Chat"

AIチャット機能では、コード生成・リファクタリング・ドキュメント生成を対話的に実行できます。

AIチャット例:

User: Rustでファイルを読み込む関数を書いて

// Rust 1.75
use std::fs;
use std::io::{self, Read};

fn read_file(path: &str) -> io::Result<String> {
    let mut file = fs::File::open(path)?;
    let mut contents = String::new();
    file.read_to_string(&mut contents)?;
    Ok(contents)
}

注意: AI補完機能はGitHub Copilotの有料サブスクリプションが必要です。無料で試す場合は、Copilotの無料トライアルを利用してください。

拡張機能とテーマ

Zedは拡張機能システムを備えており、カスタマイズ可能です。

拡張機能のインストール

# コマンドパレットから "Extensions: Install Extensions" を選択
# 検索して拡張機能をインストール

テーマのカスタマイズ

// ~/.config/zed/settings.json
{
  "theme": "One Dark",
  "buffer_font_family": "JetBrains Mono",
  "buffer_font_size": 14,
  "ui_font_size": 16
}

人気のテーマ:

  • One Dark
  • Dracula
  • Solarized Dark
  • GitHub Dark
  • Atom One Light

実践メモ: Zedのテーマエンジンは高速で、テーマ切り替え時にエディタを再起動する必要がありません。設定を変更すると即座に反映されます。

ZedとVSCodeの比較

項目ZedVSCode
言語RustTypeScript (Electron)
起動速度1秒以下3〜10秒
メモリ消費100〜300MB500MB〜1GB+
共同編集標準統合拡張機能(Live Share)
AI統合標準統合拡張機能(Copilot)
拡張機能少ない(成長中)非常に多い
プラットフォームmacOS・Linux・WindowsmacOS・Linux・Windows

パフォーマンスと共同編集を重視するならZed、拡張機能の豊富さを重視するならVSCodeという選択になります。

ZedとNeovimの比較

Zed開発チームはVimユーザーも意識しており、Vimモードを標準装備しています。

項目ZedNeovim
設定JSONLua
キーバインドGUI標準 + VimモードVimキーバインド
LSP対応標準統合プラグインで設定
共同編集標準統合非対応
UIGPU加速GUIターミナル
学習曲線緩やか

GUIと共同編集が必要ならZed、ターミナル完結とカスタマイズ性を重視するならNeovimを選択します。

実践的なユースケース

1. TypeScript/Reactプロジェクト

# プロジェクトを開く
zed my-react-app

# TypeScript Language Serverが自動起動
# インテリセンス・エラーチェックが即座に動作

Zedはtsconfig.jsonを自動検出し、TypeScript Language Serverを起動します。VSCodeと同等のインテリセンス・リファクタリング機能が使えます。

2. Rustプロジェクト

# Rustプロジェクトを開く
zed my-rust-project

# rust-analyzerが自動起動

ZedはCargo.tomlを検出してrust-analyzerを起動し、型推論・補完・エラーチェックを提供します。

// Rust 1.75
// コード補完・型推論が動作
fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    let sum: i32 = numbers.iter().sum(); // 型推論が動作
    println!("Sum: {}", sum);
}

3. リモート共同編集

# プロジェクトを共有
# Cmd+Shift+C (macOS) / Ctrl+Shift+C (Linux/Windows)

# 生成されたリンクをチームメンバーに送信
https://zed.dev/join/abc123

チームメンバーがリンクを開くと、自動的に同じプロジェクトが開き、リアルタイムで編集できます。

4. Vimモードでの使用

// ~/.config/zed/settings.json
{
  "vim_mode": true,
  "vim": {
    "use_system_clipboard": "always"
  }
}

Vimモードを有効にすると、Vimキーバインド(hjkl移動・dd削除・yy コピー等)が使えます。

パフォーマンス最適化

Zedは標準でも高速ですが、さらに最適化できます。

設定例

// ~/.config/zed/settings.json
{
  "buffer_font_family": "JetBrains Mono",
  "buffer_font_size": 14,
  "theme": "One Dark",
  "tab_size": 2,
  "soft_wrap": "editor_width",
  "show_whitespaces": "selection",
  "preferred_line_length": 100,
  "format_on_save": "on",
  "autosave": "on_focus_change",
  "git": {
    "inline_blame": {
      "enabled": true
    }
  }
}

ポイント: format_on_save を有効にすると、ファイル保存時に自動フォーマット(Prettier・Rustfmt等)が実行されます。

まとめ

Zedは、Rust製の超高速エディタで、リアルタイム共同編集・AI統合・GPU レンダリングを標準装備しています。VSCodeと比較して起動速度・応答性・メモリ効率が大幅に優れており、次世代のコードエディタとして注目されています。

Zedを選ぶべきケース

  • VSCodeの起動速度・メモリ消費に不満がある
  • リアルタイム共同編集を頻繁に使う
  • Rustなどネイティブ言語で書かれたツールを好む
  • 軽量で高速なエディタを求めている
  • 新しいツールに積極的に挑戦したい

ZedはAtomエディタの創業者が開発しており、コミュニティ主導でオープンソースとして開発されています。拡張機能のエコシステムはまだVSCodeに及びませんが、コア機能の完成度は非常に高く、今後さらに成長が期待されます。

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